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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十三)青い帯

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(十三)青い帯(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 114,244 字 · 231 頁

青空文庫

三

「殺されたお勢を嫁に欲しがったそうじゃないか」

「そんなことがあるものですか。お勢ちゃんの方で、何とか思ったかも知れませんが――」

お秀は少し頑なに頭を振るのです。

「じゃ、他にお勢を怨む者でもあると言うのか」

「親分、お勢ちゃんは、間違って殺されたんじゃないでしょうか」

「間違って殺された?」

「え、お勢ちゃんは、そりゃいい娘なんです。男からも女からも可愛がられていたし――人に怨まれる筋なんかなかったんです」

「…………」

「あの大夕立で濡れて、私の着物を着て、私の帯をしめたお勢ちゃんが、お腹を痛くして、薄暗い四畳半で休んでいるのを、障子の隙間から覗いた人があったら、てっきり、この私と間違ったのも無理はありません」

お秀は不思議なことを言うのです。

「すると、お勢はお前と間違えられて、殺されたと言うのか」

「え、そうとでも思わなきゃ――お勢ちゃんが殺されるはずはありません」

「お前は始終二階にいて、皆んなと顔を合せていたはずじゃないか。薄暗い四畳半にいるのを、お前と間違えるのは変じゃないかな」

「でも、私は始終階下へ降りて、お勝手の指図をしました。板前もお万もいるけれど、私が顔を出さなきゃ、料理が途切れたり、酒が冷えたりします」