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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十三)青い帯

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(十三)青い帯(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 114,244 字 · 231 頁

青空文庫

「その時お勢は確かに生きていたんだね」

「お嬢さんと話していなすったよ。生きていたに違いなかんべエ」

「苦しそうだったかい」

「お勢さんの声は低かったよ」

「この障子の血や穴は?」

「その時はなかったよ。それから二階へ何べんも行ったが、二階で三味線の音がして、二度目の酒盛りが始まるまではこんなものはなかったよ。一番お仕舞の銚子を持って行くときこの血に気がついたんだ。驚いて四畳半を覗くと――」

お万はその時の凄まじい光景を思い出したらしく、ゴクリと固唾を呑みます。

「もういい――ところで八、この穴は少し高過ぎるとは思わないか」

「へエ――?」

八五郎は平次の言うことがよく分らなかった様子です。

「障子越しに突いたのなら――その時お勢は気分が悪くて坐るか、横になるかしているはずだから、もう少し低くなきゃならない。これではお勢が中腰になっていたことになる」

「なるほどね」

「それに、血の撥ねようも少ないじゃないか。障子越しに人間を突いたら、こんなことじゃあるまい――これじゃまるで後で血をなすったようなものだ」

「へエ――?」

「八、気の毒だが油屋へ行って、お勢の傷を見て来てくれ。