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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十三)青い帯

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(十三)青い帯(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 114,244 字 · 231 頁

青空文庫

「するといったい、誰が弥惣を殺したんだ」

ガラッ八が不平らしく言うのを、

「俺と一緒に来るがいい。毬栗は厳重に鎧っていても、剥きようがあるものだ」

平次は、その晩遅くなってから、八五郎と一緒に鍛冶町の裏の、ささやかな家の、番頭の彦太郎を訪ねたのです。

「どなた様でしょう?」

灯を持って、入口に迎えた娘お筆の、たけて美しいのを見ると、平次もさすがに二の足を踏みました。

「父さんは、いるかい」

「え」

「平次が来たと言ってくれ。――いや取次ぐまでもない、お前に少し訊きたいことがある」

「ハイ」

「この真田紐はお父さんの前掛けの紐だったそうだね」

「?」

平次の出した真田紐の不気味な謎が分らなかったものか、お筆は大きい眼を見張りました。細面の大きい眼の、やさしい唇もとの、夢みるような美しさです。若主人の藤吉と弥惣の子の弥三郎との間に、激しい争いのあったのも無理のないことでした。

「父さん、今晩は飲んでるかい」

「いえ、ちっとも」

「昨夜も飲まなかったろう」

「え、――どうしてそんなことを」

「毎晩一合ずつ飲むのを楽しみにしていることは、角の酒屋で聴いたが、昨夜と今晩は酒もうまくはなかったはずだ」