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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十三)青い帯

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(十三)青い帯(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 114,244 字 · 231 頁

青空文庫

七

お筆はなんと言って取次いだものか、後ろの方を気にしながら、途方にくれて入口に坐ってしまいました。

「弥惣は悪いやつだ。お上でも調べは付いている。――紅屋へ入り込んで、主人や彦太郎を脅し、身上の半分くらいは横奪りしようとしたが、番頭の彦太郎が忠義者で、どうしてもうまく行かなかった。――そのうちに主人の藤兵衛が死んで若主人の藤吉が家督を継いだ。――藤兵衛の死んだのも、疑えば不思議なことばかりだった。――が訴えて弥惣を取押えるほどの証拠はなかった」

平次は上がり框に腰をおろして、煙草入などを抜きながらこんな話を続けるのです。

「若主人の代になると、弥惣の倅の弥三郎が、道楽を教え込むのに骨を折ったが、若主人の藤吉はよくできた人間でどうしても悪い方に向かない。仕方がないから弥惣は、番頭の彦太郎を脅し、――たぶん刃物くらいは持出したことだろう。とうとう土蔵へ案内させて、石の唐櫃まで開けさせた」

「まア、お父さんが、そんなことを」

お筆は顔色を変えて立ちかけるのを、平次は静かに留めながら続けました。

「俺の言うことが違っているなら、お前の父さん、――紅屋の番頭彦太郎は、隣の部屋で黙って聴いてはいないはずだ。