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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 139,230 字 · 280 頁

青空文庫

二

「いつ頃のことだ」

「二た月ばかり前で――」

「こんなものを預かるお前さんは?」

「宗方家遠縁の者で、三年越し御厄介になっておりますが、どんな御縁か御主人様はことの外信用して下さいました」

お茂与はこう言って眉を落すのです。顔がくもると一入美しさが引立って、不思議な魅力が四方に薫じます。

「八、行ってみようか」

「有難い」

八五郎はもう掘っ立て尻になって平次の出動を待っていたのです。

二

浪人宗方善五郎は、武家の出には相違ありませんが、すっかり町人になりきって、高利の金などを貸して裕福に暮しておりました。

お茂与は「私が余計なことをしたと思われると、皆んなに辛く当られますから」と尤もなことを言って裏口へ廻り、平次と八五郎は十手の見識を真っ向に、

「御免よ」

表向きから入りました。

「あ、銭形の親分」

店にいた近所の衆や、親類の老人達らしいのが、銭形平次の顔を見るとサッと蒼くなりました。お通夜を済ませて、明日はお葬いをするばかりのところへ、とんだ者が飛込んだと思ったのでしょう。

「気の毒だが、ちょいと仏様に逢わしてくれ」

八五郎がズイと出ました。

「ヘエー」

「気の毒だが、少し不審がある。