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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 139,230 字 · 280 頁

青空文庫

「じゃ誰が殺したんでしょう」

「誰でもいいじゃないか」

「ヘエ――」

「俺はもう帰って一杯やって寝るよ。浪人者の高利貸が首を縊ったところで、晩酌を休むわけには行かない」

市ヶ谷から九段へ出て、江戸の夕暮を眺めながら、恋女房のお静が待っている家へ帰るのです。平次はもう宗方善五郎殺害事件などは考えてもいない様子です。

「でも――」

「御守殿お茂与に頼まれたことが気になるのかい。じゃ、お前だけ引返して、こう言うがいい――平次は盲目じゃない。余計な細工をして、とんだ罪を作るのは止した方がよかろうとな」

「親分」

「何をもぞもぞしているんだ、――平次を担ごうなんて太え女に掛り合っていると、お前もひどい目に逢わされるぞ」

「ヘエ――」

まだ腑に落ちない様子のガラッ八を残して、平次はさっさと自分の家へ引揚げてしまいました。

その翌る日。

「た、大変ッ。親分」

朝のうちからガラッ八の大変が鳴り込んで来たのです。

「あ、脅かすなよ、八。朝の味噌汁が胸に閊えるじゃないか、――どこの猫の子がいったい五つ子を産んだんだ」

「そんな話じゃありませんよ親分。市ヶ谷御納戸町の――」

「まだそんなところをせせっているのかい。