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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 139,230 字 · 280 頁

青空文庫

ものがあるように首を捻ります。

「八、そこの戸棚と押入を見てくれ。酒の道具か、徳利のようなものはないか」

「何にもありませんよ」

と八五郎。

「お勝手がなくて、食物は母屋から運んでいたんだそうだよ。母屋へ行って晩飯をやったのは、金の見付かった祝心と、皆んなをびっくりさせる心算だったんだろう」

吉五郎は注を入れました。

「晩飯の後で、母屋からここへ食物か呑物を運んで来なかったか、――誰か用事か何かで来たものはないか、――ゆうべ飯の後で外へ出た者は誰と誰で、出なかった者は誰と誰か、詳しく調べて来てくれ」

平次は八五郎に細々と言い付けて、それから今朝死骸を見付けたという、番頭の有八を呼びました。

「親分さん、御苦労様で――私は有八でございます」

狐のような感じのする男です。

「いつか八五郎に――三万両の金を捜し出してくれたら、ひと身上やると言ったのは、お前さんだね」

「いえ、そんなわけじゃございませんが――」

有八は恐ろしくヘドモドしております。三十七八の、材木屋の番頭だけに、小力のありそうな立派な身体です。

「ゆうべ飯の後で外へ出なかったのか」

「どこへも出ません。店先で手代の与三と若吉を相手に下手将棋を六番も指しました」