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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(十二)狐の嫁入(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 139,230 字 · 280 頁

青空文庫

六

それに、丸太は二三十あるが、向うの窓に届くような長いのは一本もないし、一パイ雪を被って、引っこ抜いて使ったあともありませんぜ」

「物の譬えだ、――そんな手もあるまいという話さ。なあ親方」

平次は後ろに立って、酸っぱい顔をしている幸右衛門を顧みました。

それから念のため家の中と外廻り、隣との関係を見せて貰って、外へ出ると、

「ところで八、あの番頭の身持と店中の評判を訊いて来てくれ」

平次はいきなりこんなことを言います。

「あの番頭は虫の好かない野郎じゃありませんか、あれが臭いんでしょう」

「そんなことは追って解るよ、――それから玉姫の多の市という按摩に逢って、ゆうべの様子を訊くんだ。盲人はカンが良いから、佐野喜の主人の身体を揉んでいるとき、何か変なことがなかったか、曲者が忍んでいるとか、――主人が変ったことを言ったとか」

「それだけで?」

「それで沢山だ――俺は三輪の兄哥に逢って訊きたいことがある。頼むよ八」

「合点」

八五郎は踵に返事をさせるように、もう飛出しております。

六

番所へ顔を出すと、三輪の万七とお神楽の清吉は、自分たちの手柄に陶酔して、すっかり好い機嫌になっておりました。