輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
かぎからぬけだしたおんな
鍵から抜け出した女
海野 十三
線上閱讀海野 十三《鍵から抜け出した女(かぎからぬけだしたおんな)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 21,188 字 · 43 頁
「一つ寝?」僕は愕いて聞きかえした。「いえ、僕は寝なくてもいいのです」
尼僧はそれには返事もせず、しとやかに立ちあがると、戸棚の中をあけて、次の部屋に床をのべると枕を一つ、左によせて置いた。それからなおも戸棚の中を探していたが、一つの風呂敷を取出し、それに何物かを包んで、枕の形に作りあげた。そして寝床の右に、急造の枕を置いた。一つ臥床に並んだ二つの枕をみると、僕はなんだか顔が火のように熱くなった。
「あなたはこの仮り枕をお使いなされませ。では一刻も早く横になって、お疲れを直されるがよいでしょう。わたくしは暫く看経をいたして、あとで床に入りますから、どうぞお先へ……」
僕は逡った。尼僧にもせよ、相手は若い女であった。それが一つ床に臥すのはどんなものだろうか。
「お先へお臥しなされませ。――」
尼僧はくりかえし、それを云った。――僕はさきほど匿まって下さるなら庵主のいいつけを必ず守るといった。この上、庵主の言葉に背いて、ここを出されるようになっては大変だと思った。それで遂に意を決して、先へ寝床に入った。看経が終るまで一時であろうが、その間だけでも睡り、尼僧が入って来たら起きようと心に決めた。