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もん
門
線上閱讀夏目 漱石《門(もん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 139,830 字 · 278 頁
「世間の広い方ね」と御米が評した。
「閑だからさ」と宗助が解釈した。
次の日宗助が役所の帰りがけに、電車を降りて横町の道具屋の前まで来ると、例の獺の襟を着けた坂井の外套がちょっと眼に着いた。横顔を往来の方へ向けて、主人を相手に何か云っている。主人は大きな眼鏡を掛けたまま、下から坂井の顔を見上げている。宗助は挨拶をすべき折でもないと思ったから、そのまま行き過ぎようとして、店の正面まで来ると、坂井の眼が往来へ向いた。
「やあ昨夜は。今御帰りですか」と気軽に声をかけられたので、宗助も愛想なく通り過ぎる訳にも行かなくなって、ちょっと歩調を緩めながら、帽子を取った。すると坂井は、用はもう済んだと云う風をして、店から出て来た。
「何か御求めですか」と宗助が聞くと、
「いえ、何」と答えたまま、宗助と並んで家の方へ歩き出した。六七間来たとき、
「あの爺い、なかなか猾い奴ですよ。崋山の偽物を持って来て押付ようとしやがるから、今叱りつけてやったんです」と云い出した。宗助は始めて、この坂井も余裕ある人に共通な好事を道楽にしているのだと心づいた。そうしてこの間売り払った抱一の屏風も、最初からこう云う人に見せたら、好かったろうにと、腹の中で考えた。