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もん

門

夏目 漱石

線上閱讀夏目 漱石《門(もん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 139,830 字 · 278 頁

青空文庫

十一

「やっぱり物質的の必要かららしいです。先が何でもよほど派出な家なんで、叔母さんの方でもそう単簡に済まされないんでしょう」といつにない世帯染みた事を云った。

十一

御米のぶらぶらし出したのは、秋も半ば過ぎて、紅葉の赤黒く縮れる頃であった。京都にいた時分は別として、広島でも福岡でも、あまり健康な月日を送った経験のない御米は、この点に掛けると、東京へ帰ってからも、やはり仕合せとは云えなかった。この女には生れ故郷の水が、性に合わないのだろうと、疑ぐれば疑ぐられるくらい、御米は一時悩んだ事もあった。

近頃はそれがだんだん落ちついて来て、宗助の気を揉む機会も、年に幾度と勘定ができるくらい少なくなったから、宗助は役所の出入に、御米はまた夫の留守の立居に、等しく安心して時間を過す事ができたのである。だからことしの秋が暮れて、薄い霜を渡る風が、つらく肌を吹く時分になって、また少し心持が悪くなり出しても、御米はそれほど苦にもならなかった。始のうちは宗助にさえ知らせなかった。宗助が見つけて、医者に掛かれと勧めても、容易に掛からなかった。

そこへ小六が引越して来た。宗助はその頃の御米を観察して、体質の状態やら、精神の模様やら、夫だけによく知っていたから、なるべくは、人数を殖やして宅の中を混雑かせたくないとは思ったが、事情やむを得ない