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もん

門

夏目 漱石

線上閱讀夏目 漱石《門(もん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 139,830 字 · 278 頁

青空文庫

「京都は好い所ね」と云って二人を顧みた。それをいっしょに眺めた宗助にも、京都は全く好い所のように思われた。

こう揃って外へ出た事も珍らしくはなかった。家の中で顔を合わせる事はなおしばしばあった。或時宗助が例のごとく安井を尋ねたら、安井は留守で、御米ばかり淋しい秋の中に取り残されたように一人坐っていた。宗助は淋しいでしょうと云って、つい座敷に上り込んで、一つ火鉢の両側に手を翳しながら、思ったより長話をして帰った。或時宗助がぽかんとして、下宿の机に倚りかかったまま、珍らしく時間の使い方に困っていると、ふと御米がやって来た。そこまで買物に出たから、ついでに寄ったんだとか云って、宗助の薦める通り、茶を飲んだり菓子を食べたり、緩くり寛ろいだ話をして帰った。

こんな事が重なって行くうちに、木の葉がいつの間にか落ちてしまった。そうして高い山の頂が、ある朝真白に見えた。吹き曝しの河原が白くなって、橋を渡る人の影が細く動いた。その年の京都の冬は、音を立てずに肌を透す陰忍な質のものであった。安井はこの悪性の寒気にあてられて、苛いインフルエンザに罹った。熱が普通の風邪よりもよほど高かったので、始は御米も驚ろいたが、それは一時の事で、すぐ退いたには退いたから、これでもう全快と思うと、いつまで立っても判然しなかった。