輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
もん
門
線上閱讀夏目 漱石《門(もん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 139,830 字 · 278 頁
同時に長い廊下を踏んで、こちらへ近づく足音がした。袴を着けた男はまた廊下口から現われて、無言のまま玄関を下りて、霜の裡に消え去った。入れ代ってまた新らしい男が立って、最前の鐘を打った。そうして、また廊下を踏み鳴らして奥の方へ行った。宗助は沈黙の間に行われるこの順序を見ながら、膝に手を載せて、自分の番の来るのを待っていた。
自分より一人置いて前の男が立って行った時は、ややしばらくしてから、わっと云う大きな声が、奥の方で聞えた。その声は距離が遠いので、劇しく宗助の鼓膜を打つほど、強くは響かなかったけれども、たしかに精一杯威を振ったものであった。そうしてただ一人の咽喉から出た個人の特色を帯びていた。自分のすぐ前の人が立った時は、いよいよわが番が回って来たと云う意識に制せられて、一層落ちつきを失った。
宗助はこの間の公案に対して、自分だけの解答は準備していた。けれども、それははなはだ覚束ない薄手のものに過ぎなかった。室中に入る以上は、何か見解を呈しない訳に行かないので、やむを得ず納まらないところを、わざと納まったように取繕った、その場限りの挨拶であった。