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しゃべりすぎる
饒舌りすぎる
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《饒舌りすぎる(しゃべりすぎる)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 27,957 字 · 55 頁
おいせは燗番であり、留吉は肴を作る。まだ早いので、客は二人だけだし、留吉夫婦は二人の気性を知っていたから、なるたけ話の邪魔にならないようにとつとめていた。
「酔ったのでなければ、なにか心配ごとでもあるのか」と十太夫が云った、「そうだろう、うちでなにか気にいらないことでもあったんだろう、どうだ」
土田正三郎は盃の中をじっとみつめた。
「むだなお饒舌りはよせ」と十太夫はまた云った、「土田はみの公を貰えばよかった、みの公を女房にしていればうまくいったんだ、――いったいどうしてみの公を貰わなかったんだ、え、どういうわけだ」
土田正三郎は静かに手をあげて、右の耳のうしろを撫でた。どう答えたらいいか考えているようすで、しかしやがて、僅かに首を左へかしげた。
「わけなんかないさ」と土田は云った、「――つまり、小野が結婚してしまったんで、あの娘も拍子ぬけがしたらしいよ」
「拍子ぬけだって」十太夫は軽蔑したように唇を片方へ歪めた、「こんな場合に拍子ぬけなんて言葉を使うやつがあるか、枡平には金が預けてあったんだ、土田が一人で飲みにゆくようにって、ところが預けた金はそっくり枡平から返してよこした、つまりおまえは枡平へゆかなかったんだろう」