輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
まと
魔都
久生 十蘭
線上閱讀久生 十蘭《魔都(まと)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 293,999 字 · 578 頁
……何かほかにまだ」
「もう少しだ。……するとその娘が生きた鶴子を見た最後の人間になるわけか」
「さいです」
「その後に鶴子の住居へ上って行ったものはなかったか」
「ありませんでしたねえ」
「事件のあった後で誰か玄関から出て行った者はないか」
「誰も出てまいりません」
「どうしてそれが判るんだね。玄関に立番しているわけでもなかろう」
「誰が立番なんぞするもんですか、冗談じゃない。……それはね、あなた、玄関の扉を開閉するたびに、電気仕掛で妾の部屋のベルが鳴るようになっているんです」
「つまり、事件のあとは一度も鳴らなかったのだな」
「後にも前にも、花が帰ってからお巡査さんがやってくるまで、只の一度だって鳴りはしませんでした」
「とめという家政婦が帰ったのは」
「十一時半ごろ、いつものように勝手口の鍵を妾に渡して帰って行きました」
「その鍵は?」
「妾がここに預ってます」
「一つしかないのか」
「さいです」
「それでお前は何時ごろに事件を知ったのか」
「アッという声を聞いたのはちょうど四時だったと思います」
「崖下のアッという声をここで聞いたのだね」
「さいです。自慢じゃありませんが耳は聡いですわ」