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まと
魔都
久生 十蘭
線上閱讀久生 十蘭《魔都(まと)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 293,999 字 · 578 頁
実にどうも異様なやり方だと思うほかはない。いやしくも捜査課長ともあるべき真名古が、これほどの騒ぎを一向に意にも介さぬふうで、呑気らしくツルゲネーフの散文詩などを朗読しているのである。職務に熱中するあまり、真名古はとうとう気が違ってしまったのだと思うのは、ひとり作者だけではあるまい。いずれにしても常軌を逸したやり方という他はないのである。真名古の向いの椅子には、有明荘の崖下に住む例の花という美しい縫子が腰を掛けて、神妙にそれを聞いている。あまり面白そうな顔もしていない。いや、迷惑そうだといったほうがいいのであろう、玉繭の着物の毛端をむしりながら、しきりにモジモジしていた。
前回、真名古が総監室でひどく廻りっくどい事を述べたてたのち、この課長室へ戻って来て、何事かを待ち受けるように、ひとり机に対して蕭然と坐っているところへ、金春町の「中洲」で志摩徳、松沢、幸田、印東などという面々に山木元吉の居所を知らせろと責めたてられ、あわや裸に剥かれて拷問されようとするところを、いづみという芸者に助けられた花子が、その足で真名古のところへ駆け込んで来た。
松谷鶴子の殺人事件のあった朝の三時ごろ、山木元吉が屋根伝いに「すず本」