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にしんぎょじょう

鰊漁場

島木 健作

線上閱讀島木 健作《鰊漁場(にしんぎょじょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 24,483 字 · 49 頁

青空文庫

ぎりぎりといつのまにか二進も三進もいかぬまでに自分を締めつけてしまった、逢えば愛想のいい、金にかけてはしかし糞虫のようにきたない大山の親爺のことであった。――

この地方は北海道随一の鰊の豊漁地として知られてい、鰊場の漁業権もしたがって高価で、大丸もそのためには十万円に近い金を出していた。それとは別にそこに固定している資本は、建網、枠網、漁船、漁具、建物など、これもしめて十万円は越していた。次に毎年の仕込資金はといえば、漁夫の給料、その食費、それから鰊の製造費等、これも一万五千円はたっぷりかかった。もしも時化で網の損耗でもあればそんなことではとてもすまないのだ。そしてこの毎年の仕込資金の工面が、すべての漁場経営者にとっては頭痛のたねなのであった。――はじめ大丸はみんながするように仕込期に小樽へ出かけて行って、銀行から資金の融通をうけようとした。しかしもうその頃には、銀行の門は彼らに向ってはかたく閉されていたのである。鰊漁業などという堅実味のない、経営主の信用状態もあやふやなものに融資するほどに、銀行の金は遊んではいなかった。やむをえず大丸は、平素の取引商人である小樽切っての海産物問屋大山と契約し製品を担保にして金を融通してもらうことにしたのである。