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にしんぎょじょう

鰊漁場

島木 健作

線上閱讀島木 健作《鰊漁場(にしんぎょじょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 24,483 字 · 49 頁

青空文庫

三

なんだか出口につきあたったような気がぼんやりしてきた。真暗がりのなかをぐるぐると鼠まいしているうちに、その一角にぽっかりと穴があいて、一筋の明りを認めたときの気持だった。

枕もとに近い波のおとのあいまあいまに、寺の梵鐘がひびきはじめた。人々の起きる時刻だ。漁夫たちは寝がえりをし、欠びをしはじめた。戸の隙間からはうっすらと朝の光りがさして来た。……

三

朝、赤毛布の前掛けに、大丸の屋号をそめ抜いた手ぬぐいの鉢巻姿で、漁夫たちは浜べに出そろった。まず除雪作業だ。廊下(漁舎のこと)を中心とする数十間の地の積雪は、屈強な男たちの担ぐ畚に運ばれて、またたく間に除かれてしまった。きれいに掃き清められた浜べには、蔵の中から持ち出された建網と枠網が拡げられた。前の年に漁がおわると、柿渋をほどこして格納しておいたものだが、この一年の間に鼠喰いがないか、縄ずれがないか、擦り切れがないか、雨蒸れで脆弱になった箇所はないか、と一々詳しく調べるのである。枠網は一名財産袋ともいう。建網でとらえた鰊を「汲み」あげて枠網に入れ、親舟につないで陸に曳航するものだけに、枠網に少しの破損箇所でもあれば折角つかんだ「財産」