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なるとひちょう

鳴門秘帖(三)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《鳴門秘帖(三)(なるとひちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 261,216 字 · 521 頁

青空文庫

天井板の隙間から真ッ暗になった畳の上へ、バラバラと落ちてきた塵……針がこぼれる程の音をたてた。

肋骨のような屋根裏の梁に手をかけていた三位卿。

「や、この下?」

と思ったので、天井板のつぎ目へ小柄をさし込み、そッとねじりながら隙間へ顔をよせてゆくと、刹那に、

「シッ……」と、下の部屋の明りが消え、やり場を失った目の先へツウンと蝋燭のいぶりが沁みてきた。

「怪しい……」

と、かれは直覚した。

しばらく息をためていると、やがて四国屋の若者らしいのがドロドロと暗闇になだれてきて、何かその部屋から運びだして行く様子――。

むせッたい煤の暗闇を這って、有村は前の茶屋へ戻ってきた。

みると、いる筈の啓之助が、そこに姿を見せないので、

「きゃつめ!」と舌打ちして、

「どこへ行ったのだ。ここを見張っていろといっておいたに」

塵を払って前栽のほうを眺めていると、庭木の間を潜って近寄ってくる影がある。

「啓之助か――」

「有村様」

「何をうろたえておるのじゃ」

「ただいま原士の者が」

「原士がどうした?」

「一散にここを離れて、船待場のほうへ急ぎました」

「分った、今のつづらじゃ」

「え、つづら?」