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なるとひちょう
鳴門秘帖(三)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《鳴門秘帖(三)(なるとひちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 261,216 字 · 521 頁
それに続いて三位卿が降りてゆく。原士もぞろぞろ跳び降りる。
森啓之助、天堂一角、各小舟へ移って行った。
親船には恐怖と大寂が残った。松兵衛と新吉とは、最前から額をすりつけてしまったまま、雷にうたれたようにうッ伏した形となっていた。
その肘や膝の下へまで、温い液体がこんこんと浸しているのも感じないくらい、喪心したかの態である。
三位卿の仮借ないあばき方には、もう絶対に抗弁する余地がなかった。なおさらのこと、みすみすつづらを運ばれて行っても、阻める気力などはない。被征服者の屈伏があるのみだ。
櫓も帆も舵も、茫然と、水夫の手から忘れられているまに、船は、怖ろしい暗礁からつき出されて、目印山の水尾木を沖へ離れ、果てなき黒い海潮に舷を叩かれていた。
夜の海鳥が、ちぬの浦の闇に、気味の悪い、羽ばたきを搏った。
さて。
四国屋の船から凱歌をあげた数艘の艀舟は、暗い大川を斜めにさかのぼって、安治川屋敷へと櫓韻をそろえた。
お船蔵の石垣へと、白い飛沫を寄せたかと思うと、そこから庭づたいに、屋敷のほうへ引き揚げて行った。
きのうからぶッ通しに緊張していたので、誰も相当に疲れていた。