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あだこ

あだこ

山本 周五郎

線上閱讀山本 周五郎《あだこ》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 22,762 字 · 46 頁

青空文庫

五

あだこは手で顔を掩った。

「金森さんはここへ来て、事実を話し、両手をついて詫びた」と彼はゆっくり続けた、「自分はあれが可愛い、と金森さんはうちあけて云った、本来なら成敗するところだが自分にはできない、ならぬところであろうが堪忍してもらいたい、その代りいかなる償いでもしよう、と云った」

五

うしろであだこの啜り泣くような声がし、半三郎は庭の雪を見ていた。

「おれにどうすることができる」と彼は囁くように云った、「金森老のゆき届いた正直な詫びに対して、怒ることができるか、なにか云うことでもあるか、――おれは丁寧に礼を返してその斟酌には及ばない、忘れて下すってよろしいと答えただけだ」

酒を注ごうとしたが、酒はもう無くなっていた。半三郎は空になった銚子を出して、「つけて来てくれ」と云った。あだこは受取って立ってゆき、まもなく戻って来た。半三郎は手まねで、酌は自分でするという意味を示し、あだこは火桶の脇へさがって坐った。

「おれは少年のころ、こういう経験をした」と彼は手酌で一つ飲んでから云った、「――九つか十くらいのときだったろう、場所は半蔵門の堀端で、おれは一人だった、前後のことは記憶にないが、おれは一人で堀端にいた、季節は夏の終りごろだったと思う、風が吹いていて、おれは風が向うから吹いて来て、そして吹き去ってゆくのを