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あだこ
あだこ
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《あだこ》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 22,762 字 · 46 頁
十兵衛は小林の家柄を考えろと云った。それも当然出てくる言葉なのだ、小林の家は祖父の代までは百石あまりの小普請にすぎなかった。それを父の半兵衛の代で、二百二十石余の書院番にまで仕上げた。父は酒も煙草ものまず、勤勉と倹約で一生を押しとおした。九年まえに母が病死したとき、父はまだ四十二歳だったから、後添の縁談がずいぶんあった。しかし父は首を振った。
――半三郎がもう十七歳で、四、五年すれば嫁をとらなければならない。いま自分が後添を貰えば、家の中が複雑にもなるし家計の上からもそれだけのゆとりはない。
父の半兵衛はそう云った。そして、それから一年ほど経って金森のみすずと半三郎との、婚約をまとめたのだ。金森主膳は八百石の書院番、すなわち父の上役であり、みすずはそのとき十三歳であった。この縁組は小林家の将来を固めるものであり、そこまで小林の家格を仕上げたのは、勤勉と倹約で一生を押しとおした父のたまものであった。十兵衛はそのことを云ったのだ。
曽我十兵衛は二百五十石の使番で、去年の六月、国目付として津軽へ赴任した。国目付というのは幕府から外様諸侯の国許へ派遣される監察官で、定員は二名または三名、任期は半年から一年の交代である。