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あだこ
あだこ
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《あだこ》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 22,762 字 · 46 頁
杉林はいうまでもなく、植込はみな勝手なほうへ枝を伸ばしているし、池は干あがって塵芥が溜まっているし、築山は去年の霜と雪で一部が崩れ、皮の剥げた傷痕のように赭土の肌が見えていた。芝生だったところは雑草に蔽われてしまい、その雑草は二尺にも三尺にも伸びたまま、いちめんに茶色に枯れていた。
「八重葎か」と半三郎はけだるそうに呟いた、「――葎の門というところだな」
彼は静かに眼をほそめた。
いちめんに庭を蔽っている、その高い枯草が動き、その蔭でなにかが動いているようである。彼はなんの気もなく、ぼんやりとそれを眺めていたのだが、その動いていたものがひょいと立ちあがり、こっちを見ておじぎをしたのであった。半三郎はほそめた眼で、まだぼんやりと眺めていた。
「あんまり草ぼうぼうですからね」とそのものは云った、「見るだけでもかっちくちいですから、いまちょっと抜いているところなんです」
声は女であった。半三郎は相手が女だと気づいて、寝ころんだまま眼の焦点を合わせた。
黒っぽい木綿の布子に、色の褪めた帯をしめている。背丈はあまり高くない。髪はひっ詰めに結っており、顔は栗の皮のように黒い。