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いさましいはなし
いさましい話
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《いさましい話(いさましいはなし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 36,835 字 · 73 頁
十一
古畳が一帖あるだけで、あとは板敷だし、階段口と矢狭間から風がはいるからひどく寒い。
禅堂へこもったと思えばいい。
玄一郎はおちついた気持で、古畳の上に坐りとおし、夜は着たまま横になった、夜具に類する物はなにもないし、もちろん火の気もない。
看視の者は交代であるが、それでも堪らないとみえて、すぐ立っては階下へ暖たまりにいった。もっともひどいのは夜半から明け方の寒さで、この時間はとうてい眠ることができず、立っても居ても、それこそ骨の髄まで凍るかと思った。
三日めの夜半、玄一郎は自分の執るべき手段をきめた。それは汚職の罪に服するということである。重職に対する裁断は藩主の許しがなくてはできない、この始末が江戸へ報告されれば敦信はそのままにはしておかぬであろう。関係者を江戸へ呼ぶか、少なくとも江戸から誰かよこすに違いない。
――じたばたするよりそのほうが早い。
覚悟をきめて、四日めの朝、玄一郎は次席家老への面談を求めた。
十一
次席家老に会って話したいという、玄一郎の求めは拒まれた。その必要がないというのである。取次いだのは看視の一人であるが、重役詰所は人の出入りがあわただしく、益山税所は特に多忙のようにみえたと告げた。