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おれはにじゅうめんそうだ

おれは二十面相だ/妖星人R

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《おれは二十面相だ/妖星人R(おれはにじゅうめんそうだ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。

N3 · 進階 · 新字新假名 · 194,415 字 · 391 頁

青空文庫

黒い手が、銀の箱を、つかんだのではないでしょうか。

あっ、ごらんなさい。銀の箱が、動いています。テーブルの上を、スーッと、すべっていきます。そして、テーブルの外までいっても、下へ落ちないで、宙に浮いているではありませんか。

ああ、わかりました。まっ黒な手が、どこからかあらわれて、銀の箱をつかんで、もっていくのです。

いや、手ばかりではありません。何か、ぜんしんまっ黒なやつが、そこに立っているようです。まっ黒な怪物が巻き物をぬすみにきたのです。

「あっ、きさま、なにものだっ!」

小林君は、叫び声をたてて、その黒い怪物にとびかかっていきました。

たしかに、手ごたえがありました。人間の暖かいからだです。そいつは、まっ黒なきれを、頭からかぶって、手もそのきれに包んで、巻き物の箱を、盗み去ろうとしたのです。

「どろぼうっ、まてっ!」

小林君は、その目に見えないやつに、くみつこうとしましたが、あっとおもうまに、おそろしい力ではねとばされ、しりもちをついてしまいました。

そのときです。部屋のむこうの壁ぎわで、また、ふしぎなことがおこりました。ミイラの棺から、はみ出していた白いきれが、だんだん大きくなって、フワフワと、こちらへ近づいてきたのです。