輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
からっぽのたんす
からっぽの箪笥
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《からっぽの箪笥(からっぽのたんす)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 1,708 字 · 4 頁
男というものは、ときどき「おれはこんなばかな人間だったのか」と思って冷汗をかくものだ。男と言っては悪いかもしれない、私と言い直さなければならないかもしれないが、いまでもほぞを噛みたいような思い出が、私の半生には幾十百たびとなくあった。その中の一例をここで告白するわけだが、――戦後まもなく、かすとり焼酎さかんなりしころ、私は大森から横浜へ移って、ろくさま仕事もせず、訪ねて来る若い記者諸君と酒浸り(もちろんかすとり浸りの意味)になっていた。
当時は大学校の創立と覇をきそうかの如く、雑誌社や出版社が乱立し、およそ原稿用紙に字の書ける人士なら、老若賢愚の差別なく追いまわされ、巨額な稿料印税でふところを肥大させたようである。私のように無能な末輩のところへも、ときたま(なにを勘ちがいしてか)そういう記者諸氏が来訪されたし、中には高額な原稿料を提供することによって知られた、新興数社の紳士もあったが、すると私は、いっしょに飲んでいる若い記者諸君に眼くばせをし、ほぼ次のような問答をとり交わしてたのしむのであった。
紳士、――私の社では原稿一枚についてしかじかの(金額)額をお払い致します。