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さぶ
さぶ
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《さぶ》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 210,521 字 · 415 頁
「こんなことを云うのも、つまり私が能のない年寄りで、半分死んだも同然だからでしょうがね」
「年寄りったって、まだ働きざかりじゃあないのかい」
「としは四十一さ」と与平は力のない笑いかたをして云った、「けれどもね、いつか話したあの晩、女房を殺そうとしたあのひと晩で、私は二十も三十もとしをとっちまったような気がするんですよ、ええ、気がするだけじゃあなく、躯まですっかり年寄りになっちまってるんです、おまえさんには信じられないかもしれないがね」
そして与平は自分の寝床のほうへ去っていった。
栄二は寝てから考えた。この寄場にいる人間たちの中に、二度と世間へ出たくない、一生この島でくらしたい、と云う者が少なくない。気が弱く、とびぬけた才能もなく、善良であるだけでは、広い世間での生活は苦しいだろう。だがそれだけではあるまい、かれらは生活の苦しさに加え、いろいろな意味で世間から非情に扱われ、こづきまわされた。女衒の六がなかまの復讐を怖れたとき、広い世間にではなく、この島をかくれがに選んだように、かれらにとってもまた、ここが安全なかくれがなのであろう。なんという可哀そうな人たちだ、と栄二は思った。