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さぶ
さぶ
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《さぶ》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 210,521 字 · 415 頁
「人足部屋などで勝手に字を教えたり習ったりしてはいけない」と小島はわざと栄二を見ずに云った、「手習いをしたいというのは神妙な心がけだから、まじめにやるつもりなら願い出るがいい、文字を習うというのはおろそかなことではない、筋も知れぬ者などに習うと、あとあと取返しのつかないことになるだろう」
役所の許しを受けるか、さもなければ手習いは禁ずる、というのであった。
筋も知れない者、というのは栄二のことを指したのだろう。栄二は芳古堂で十年も手習いをし続け、朋輩の中では上手の内にかぞえられていた。彼は広沢と菱湖が好きであり、唐様も和様も本筋に習った。小島に眼があれば、そのくらいのことはわかったろうに、と栄二は思ったが、いや、とすぐに首を振った。そうではない、規則に反するというのは事実かもしれない。願い出ろというのならそうするのが順序だ、と思い直した。
部屋の者も許しを受けようというので、栄二は自分の書いた手本数冊を揃え、与平に持たせて役所へやった。そのときは下役同心が、考えておくと云ったそうであるが、翌日、岡安喜兵衛が自分で部屋へやって来た。みんな仕事に出たあとで、栄二と与平の二人しかいなかったが、岡安は与平をも遠ざけた。