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さぶ
さぶ
山本 周五郎
線上閱讀山本 周五郎《さぶ》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 210,521 字 · 415 頁
さぶは支えきれずによろめいて、危うく栄二の上へ倒れそうになった。堀江町の角で、かなり人の往来が多い、さぶは自分が見られているように狼狽し、ちょっと待っててくれ、と云いながら「すみよし」の店のほうへ走っていった。
あたしもう諦めたわ、という女の声が聞えた。これが持って生れた運なんだもの、生涯、苦労を背負ってくらすんでしょ、せめてこんど生れてくるときには、もう少しましな家の子に生れてきたいって、それを願うよりほかにないと思ってるの。佐渡のなんとかはこの世の地獄っていうけれど、あたしは生れてから今日までずっと地獄のくらしよ。ああそうだとも、この世はみんな地獄さ、勝手にしやあがれ、と栄二は云った。
「さあ水よ」と女が云った、「咽せないように飲むのよ」
栄二は湯呑から水を飲み、すぐにまた一杯飲んだ。
「のぶ公だな」と栄二は頭を振りながら見あげた、「ここはすみよしか」
「少し横になるほうがいいわ、さあ」おのぶは座蒲団を二つに折り、それを枕にして栄二を横にさせた、「いまなにか掛けるから、眠れたらお眠りなさい」
「さぶはどこにいる」
「仕事じゃないの、仕事が終りしだい戻って来るって、本町のお店とかへいったわ」