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それから
それから
線上閱讀夏目 漱石《それから》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 172,794 字 · 347 頁
それから椅子の脊に坊主頭を靠たして、一寸部屋の中を見廻しながら、
「中々、好い家だね。思ったより好い」と賞めた。代助は黙って巻莨入の蓋を開けた。
「それから、以後どうだい」
「どうの、こうのって、――まあ色々話すがね」
「もとは、よく手紙が来たから、様子が分ったが、近頃じゃ些とも寄さないもんだから」
「いや何所も彼所も御無沙汰で」と平岡は突然眼鏡を外して、脊広の胸から皺だらけの手帛を出して、眼をぱちぱちさせながら拭き始めた。学校時代からの近眼である。代助は凝とその様子を眺めていた。
「僕より君はどうだい」と云いながら、細い蔓を耳の後へ絡みつけに、両手で持って行った。
「僕は相変らずだよ」
「相変らずが一番好いな。あんまり相変るものだから」
そこで平岡は八の字を寄せて、庭の模様を眺め出したが、不意に語調を更えて、
「やあ、桜がある。今漸やく咲き掛けた所だね。余程気候が違う」と云った。話の具合が何だか故の様にしんみりしない。代助も少し気の抜けた風に、
「向うは大分暖かいだろう」と序同然の挨拶をした。すると、今度は寧ろ法外に熱した具合で、
「うん、大分暖かい」と力の這入った返事があった。