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それから
それから
線上閱讀夏目 漱石《それから》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 172,794 字 · 347 頁
是非顔を合せなければならない場合には、誠太郎か、縫子か、何方か引張て父の前へ出る手段を取っていた。代助も縁側まで来て、そこに気が付いたが、それ程の必要もあるまいと思って、座敷を一つ通り越して、父の居間に這入った。
父はまず眼鏡を外した。それを読み掛けた書物の上に置くと、代助の方に向き直った。そうして、ただ一言、
「来たか」と云った。その語調は平常よりも却って穏な位であった。代助は膝の上に手を置きながら、兄が真面目な顔をして、自分を担いだんじゃなかろうかと考えた。代助はそこで又苦い茶を飲ませられて、しばらく雑談に時を移した。今年は芍薬の出が早いとか、茶摘歌を聞いていると眠くなる時候だとか、何所とかに、大きな藤があって、その花の長さが四尺足らずあるとか、話は好加減な方角へ大分長く延びて行った。代助は又その方が勝手なので、いつまでも延ばす様にと、後から後を付けて行った。父も仕舞には持て余して、とうとう、時に今日御前を呼んだのはと云い出した。
代助はそれから後は、一言も口を利かなくなった。只謹んで親爺の云うことを聴いていた。父も代助からこう云う態度に出られると、長い間自分一人で、講義でもする様に、述べて行かなくてはならなかった。