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それから

それから

夏目 漱石

線上閱讀夏目 漱石《それから》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 172,794 字 · 347 頁

青空文庫

代助を見て、突然、人間はどうしても君の様に独身でなけりゃ仕事は出来ない。僕も一人なら満洲へでも亜米利加へでも行くんだがと大いに妻帯の不便を鳴らした。三千代は次の間で、こっそり仕事をしていた。

三遍目には、平岡の社へ出た留守を訪ねた。その時は用事も何もなかった。約三十分ばかり縁へ腰を掛けて話した。

それから以後はなるべく小石川の方面へ立ち回らない事にして今夜に至ったのである。代助は竹早町へ上って、それを向うへ突き抜けて、二三町行くと、平岡と云う軒燈のすぐ前へ来た。格子の外から声を掛けると、洋燈を持って下女が出た。が平岡は夫婦とも留守であった。代助は出先も尋ねずに、すぐ引返して、電車へ乗って、本郷まで来て、本郷から又神田へ乗り換えて、そこで降りて、あるビヤー、ホールへ這入って、麦酒をぐいぐい飲んだ。

翌日眼が覚めると、依然として脳の中心から、半径の違った円が、頭を二重に仕切っている様な心持がした。こう云う時に代助は、頭の内側と外側が、質の異なった切り組み細工で出来上っているとしか感じ得られない癖になっていた。それで能く自分で自分の頭を振ってみて、二つのものを混ぜようと力めたものである。