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それから
それから
線上閱讀夏目 漱石《それから》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 172,794 字 · 347 頁
同時に表へ回れと眼で合図をした。三千代は自分で沓脱へ下りて、格子の締を外しながら、
「無用心だから」と云った。今まで日の透る澄んだ空気の下で、手を動かしていた所為で、頬の所が熱って見えた。それが額際へ来て何時もの様に蒼白く変っている辺に、汗が少し煮染み出した。代助は格子の外から、三千代の極めて薄手な皮膚を眺めて、戸の開くのを静かに待った。三千代は、
「御待遠さま」と云って、代助を誘う様に、一足横へ退いた。代助は三千代とすれすれになって内へ這入った。座敷へ来て見ると、平岡の机の前に、紫の座蒲団がちゃんと据えてあった。代助はそれを見た時一寸厭な心持がした。土の和れない庭の色が黄色に光る所に、長い草が見苦しく生えた。
代助は又忙がしい所を、邪魔に来て済まないという様な尋常な云訳を述べながら、この無趣味な庭を眺めた。その時三千代をこんな家へ入れて置くのは実際気の毒だという気が起った。三千代は水いじりで爪先の少しふやけた手を膝の上に重ねて、あまり退屈だから張物をしていた所だと云った。三千代の退屈という意味は、夫が始終外へ出ていて、単調な留守居の時間を無聊に苦しむと云う事であった。