輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

それから

それから

夏目 漱石

線上閱讀夏目 漱石《それから》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 172,794 字 · 347 頁

青空文庫

否、その前逢った時既に、と思い出した。代助は二人の過去を順次に遡ぼってみて、いずれの断面にも、二人の間に燃る愛の炎を見出さない事はなかった。必竟は、三千代が平岡に嫁ぐ前、既に自分に嫁いでいたのも同じ事だと考え詰めた時、彼は堪えがたき重いものを、胸の中に投げ込まれた。彼はその重量の為に、足がふらついた。家に帰った時、門野が、

「大変顔の色が悪い様ですね、どうかなさいましたか」と聞いた。代助は風呂場へ行って、蒼い額から奇麗に汗を拭き取った。そうして、長く延び過ぎた髪を冷水に浸した。

それから二日程代助は全く外出しなかった。三日目の午後、電車に乗って、平岡を新聞社に尋ねた。彼は平岡に逢って、三千代の為に充分話をする決心であった。給仕に名刺を渡して、埃だらけの受付に待っている間、彼はしばしば袂から手帛を出して、鼻を掩うた。やがて、二階の応接間へ案内された。其所は風通しの悪い、蒸し暑い、陰気な狭い部屋であった。代助は此所で烟草を一本吹かした。編輯室と書いた戸口が始終開いて、人が出たり這入たりした。代助の逢いに来た平岡もその戸口から現われた。先達て見た夏服を着て、相変らず奇麗な襟とカフスを掛けていた。