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それから
それから
線上閱讀夏目 漱石《それから》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 172,794 字 · 347 頁
兄は趣味に関する妹の教育を、凡て代助に委任した如くに見えた。代助を待って啓発されべき妹の頭脳に、接触の機会を出来るだけ与える様に力めた。代助も辞退はしなかった。後から顧みると、自ら進んでその任に当ったと思われる痕迹もあった。三千代は固より喜んで彼の指導を受けた。三人はかくして、巴の如くに回転しつつ、月から月へと進んで行った。有意識か無意識か、巴の輪は回るに従って次第に狭まって来た。遂に三巴が一所に寄って、丸い円になろうとする少し前の所で、忽然その一つが欠けたため、残る二つは平衡を失った。
代助と三千代は五年の昔を心置なく語り始めた。語るに従って、現在の自己が遠退いて、段々と当時の学生時代に返って来た。二人の距離は又元の様に近くなった。
「あの時兄さんが亡くならないで、未だ達者でいたら、今頃私はどうしているでしょう」と三千代は、その時を恋しがる様に云った。
「兄さんが達者でいたら、別の人になっている訳ですか」
「別な人にはなりませんわ。貴方は?」
「僕も同じ事です」
三千代はその時、少し窘める様な調子で、
「あら嘘」と云った。代助は深い眼を三千代の上に据えて、