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それから

それから

夏目 漱石

線上閱讀夏目 漱石《それから》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 172,794 字 · 347 頁

青空文庫

彼は一日も早く父に逢って話をしたかった。万一の差支を恐れて、三千代が来た翌日、又電話を掛けて都合を聞き合せた。父は留守だと云う返事を得た。次の日又問い合せたら、今度は差支があると云って断られた。その次には此方から知らせるまでは来るに及ばんという挨拶であった。代助は命令通り控えていた。その間嫂からも兄からも便は一向なかった。代助は始めは家のものが、自分に出来るだけ長い、反省再考の時間を与える為の策略ではあるまいかと推察して、平気に構えていた。三度の食事も旨く食った。夜も比較的安らかな夢を見た。雨の晴間には門野を連れて散歩を一二度した。然し宅からは使も手紙も来なかった。代助は絶壁の途中で休息する時間の長過ぎるのに安からずなった。仕舞に思い切って、自分の方から青山へ出掛けて行った。兄は例の如く留守であった。嫂は代助を見て気の毒そうな顔をした。が、例の事件に就ては何にも語らなかった。代助の来意を聞いて、では私が一寸奥へ行って御父さんの御都合を伺って来ましょうと云って立った。梅子の態度は、父の怒りから代助を庇う様にも見えた。又彼を疎外する様にも取れた。代助は両方の何れだろうかと煩って待っていた。