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それから

それから

夏目 漱石

線上閱讀夏目 漱石《それから》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 172,794 字 · 347 頁

青空文庫

の最後の模様を、此所まで頭の中で繰り返してみて、ぞっと肩を縮めた。こう云う時に、彼が尤も痛切に感ずるのは、万一自分がこんな場に臨んだら、どうしたら宜かろうという心配である。考えると到底死ねそうもない。と云って、無理にも殺されるんだから、如何にも残酷である。彼は生の慾望と死の圧迫の間に、わが身を想像して、未練に両方に往ったり来たりする苦悶を心に描き出しながら凝と坐っていると、脊中一面の皮が毛穴ごとにむずむずして殆ど堪らなくなる。

彼の父は十七のとき、家中の一人を斬り殺して、それが為め切腹をする覚悟をしたと自分で常に人に語っている。父の考では伯父の介錯を自分がして、自分の介錯を祖父に頼む筈であったそうだが、能くそんな真似が出来るものである。父が過去を語る度に、代助は父をえらいと思うより、不愉快な人間だと思う。そうでなければ嘘吐だと思う。嘘吐の方がまだ余っ程父らしい気がする。

父ばかりではない。祖父に就ても、こんな話がある。祖父が若い時分、撃剣の同門の何とかいう男が、あまり技芸に達していた所から、他の嫉妬を受けて、ある夜縄手道を城下へ帰る途中で、誰かに斬り殺された。