輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
『てっぽうさへいじ』ついでにもひとつ
たそがれの人間 佐藤春夫怪異小品集【底本画像有】
佐藤 春夫
線上閱讀佐藤 春夫《たそがれの人間 佐藤春夫怪異小品集【底本画像有】(『てっぽうさへいじ』ついでにもひとつ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 23,182 字 · 48 頁
道灌山
はしがき
(一)
(二)
はしがき
一つの奇妙な事実談を語りたいと思う。或は少しも奇妙事ではなく、至極ありふれた事の一角だけが表面に現れて大部分が埋れかくされているためにえたいが知れないのかも知れない。そういう事が世の中には多い。きっとそんな事であろう。ともかくもえたいの知れない話である。
(一)
あれは何時だったか知ら。この家ができたのが関東大震災の翌々年の二月、それからこの家へ最初に電話の取りつけられたのはその年か、その翌年かの五月ごろでもあったろうか。するとかれこれ三十年ぐらい昔の話、その間にわたくしも壮年期から老年期に入ったばかりか、あいだに戦争などがはさまったせいもあって、あのころの家常茶飯事はおおかた忘れてしまったのに、あの話だけがふしぎと記憶に深い。それにしてもどれだけ正確に思い出せるやら。
(二)
あの頃の習慣で、執筆はいつも深夜になっていたため、自然と朝起きるのがおそく、ひとりで朝飯と昼飯とを兼ねた十一時ごろの食事をすまして一服しているところへ、けたたましく電話がかかって来たので困った。人々はみなわたくしの書斎の掃除でもしていたらしかった。
由来、電話と云うものは性に合わない上に子供のころから薬局生や看護婦を頼む習慣がついてしまって嫌いなのだが、台所の要求によって自分では一切電話に出ない条件づきで設けた電話なのである