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『てっぽうさへいじ』ついでにもひとつ

たそがれの人間 佐藤春夫怪異小品集【底本画像有】

佐藤 春夫

線上閱讀佐藤 春夫《たそがれの人間 佐藤春夫怪異小品集【底本画像有】(『てっぽうさへいじ』ついでにもひとつ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 23,182 字 · 48 頁

青空文庫

松過や蜜柑の皮のすてどころ

暫の顔にも似たり飾海老

去年からつづく日和や今朝の春

初東風や一二の橋の人通

十二月念六日荷風生

吉井勇様

以上が本文でなお追て書きに次のように細書で記されている――

先年三十間堀で鈴本と申し候待合茶屋の娘お栄さんと申し候もの去年頃より明治屋裏通にてほがひと申酒亭を営み居候由、先頃銀座通にて出会立話致候貴著酒ほがひの名にちなみ候由既に御承知の事かと存候小生はまだ参り不申候

と読まれる。初春の五句めでたく先生と吉井勇との交情のさまも見えてよろこばしい手紙ではあるが、わたくしにとっては三人の師友の悲しい思い出の料で新年に掛ける気にもなれないから、せめては先生の命日にかかげて先生をはじめ二亡友のおもかげをしのぶとしよう。

なお吉井氏宛の手紙は吉井氏が家庭解散の砌、大鹿氏方に荷物を預けたお礼に、大鹿君の望みにまかせて与えられたものと云う。