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とむらいきかんしゃ
とむらい機関車
大阪 圭吉
線上閱讀大阪 圭吉《とむらい機関車(とむらいきかんしゃ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 186,729 字 · 371 頁
部屋の中央には、およそこの部屋に不似合な一脚の事務机が据えられてあり、その上の隅には、書類用の小箪笥が乗せてある。
東屋氏はひと亙り室内を見渡すと、机の上へマベ貝を置いて、椅子に腰掛け、暫くジッと考え込んでいたが、やがて書架の前へ歩み寄ると、鼻先を馬のように蠢かしながら、なにか盛んに書物を漁り始めた。私は、ふと自分達の乗って来た馬のことを思い出した。この邸へ来た時に日蔭へ縛りつけたなり、まだ一度も水をやってない――で、急に心配になった私は、そのままそそくさと船室を出た。
冷たい水を馬に飲ませている間に、私は、天候がひどく悪化した事に気付いた。辺りはますます暗く、恐ろしい形相の黒雲は、空一面に深く低く立ち迷って、岬の端の崖の下からは、追々に高くなった波鳴りの音が、足元を顫わせるように聞えて来る。
私は玄関の横の長く張り出された廂の下を選んで、馬を廻した。これらの仕事を、随分手間取ってやっと為し終えた時に、東屋氏がやって来た。
「君、多分この家の電話は、長距離だったね? 済まないがひとつ交換局を呼び出してくれ給え。そして三重県へ掛けたいのだがね、番号が判らないんだ。