輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
たにしのしゅっせ
むかし むかし あるところに
楠山 正雄
線上閱讀楠山 正雄《むかし むかし あるところに(たにしのしゅっせ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N3,點詞查義。
N3 · 進階 · 新字新假名 · 13,919 字 · 29 頁
いまさらりゅう宮がこいしくてたまらなくなりました。
しおしおとまた浜べへ出てみましたが、海の水はまんまんとたたえていて、どこがはてともしれません。もうかめも出てきませんから、どうしてりゅう宮へわたろう手だてもありませんでした。
そのとき、浦島はふと、かかえていた玉手箱に気がつきました。
「そうだ。この箱をあけてみたらば、わかるかもしれない」
こうおもうとうれしくなって、浦島は、うっかり乙姫さまにいわれたことはわすれて、箱のふたをとりました。するとむらさき色の雲が、なかからむくむく立ちのぼって、それが顔にかかったかとおもうと、すうっと消えて行って箱のなかにはなんにものこっていませんでした。その代り、いつのまにか顔じゅうしわになって、手も足もちぢかまって、きれいなみぎわの水にうつった影を見ると、髪もひげも、まっしろな、かわいいおじいさんになっていました。
浦島はからになった箱のなかをのぞいて、
「なるほど、乙姫さまが、人間のいちばんだいじなたからを入れておくとおっしゃったあれは、人間の寿命だったのだな」
と、ざんねんそうにつぶやきました。
春の海はどこまでも遠くかすんでいました。