輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

めくらぞうし

めくら草紙

太宰 治

線上閱讀太宰 治《めくら草紙(めくらぞうし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 6,695 字 · 14 頁

青空文庫

感じのいい奥さまです、ということである。あくる日、すぐ私は、このまちの植木屋を捜しだし、それをつれて、おとなりへお伺いした。つやつやした小造りの顔の、四十歳くらいの婦人がでて来て挨拶した。少しふとって、愛想のよい口元をしていて、私にも、感じがよかった。三本のうち、まんなかの夾竹桃をゆずっていただくことにして、私は、お隣りの縁側に腰をかけ、話をした。たしかに次のようなことを言ったとおぼえている。

「くには、青森です。夾竹桃などめずらしいのです。私には、ま夏の花がいいようです。ねむ。百日紅。葵。日まわり。夾竹桃。蓮。それから、鬼百合。夏菊。どくだみ。みんな好きです。ただ、木槿だけは、きらいです。」

私は自分が浮き浮きとたくさんの花の名をかぞえあげたことに腹を立てていた。不覚だ! それきり、ふっと一ことも口をきかなかった。帰りしなに、細君の背後にじっと坐っている小さな女の子へ、

「遊びにいらっしゃい。」と言ってやった。娘は、「はあ。」と答えてそのまましずかに私のうしろについて来て、私の部屋へはいって、坐った。たしかに、そんな工合いであったようである。私は、多少いい気持ちで夾竹桃などに心をひかれたのをくやしく思っていたので、その木の植えかた一さい家人にまかせ、八畳の居間でマツ子と話をした。