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ドナウげんりゅうこう

ドナウ源流行

斎藤 茂吉

線上閱讀斎藤 茂吉《ドナウ源流行(ドナウげんりゅうこう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 21,565 字 · 44 頁

青空文庫

又 Danuvius とも云った。亜歴山大王のこと、羅馬人占住のこと、トラヤン帝の戦のこと、羅馬街道のこと、などが書いてある。羅馬人の勢が衰えて、呉底族の侵入して来たあたりから、いろいろの種族が相興亡し、東洋の種族までその辺にあばれ廻ったりなどして、次いで段々と国の出来て来る有様が書いてある。西紀第六世の終頃のクロヴァチアと、アヴァールと、東羅馬帝国との境界は全くドナウによって限られて居り、スロヴェン族の勃興した第七世紀から第八世紀にかけても、その境界はやはりドナウに拠った。匈牙利王国が起り、セルビア国と、ワラカエ国が起った時でもそうである。それゆえ、ドナウの沿岸には砦があり、軍が屯し、いろいろな哀な物語などをも残した。ニイベルンゲンの歌の如きはその一つに過ぎない。それ以後いろいろの国が起るに及んで、ドナウは必ずしもその境界ではなくなった。そういう興亡の史蹟を此の書物が書いて居る。僕は伽藍の頂にいて、その輪廓をおもい浮べていた。

伽藍の塔を降りるときには割合に活溌に降りることが出来た。伽藍の内にはもう誰も礼拝しているものはなかった。僕はそのなかを無意味に大股に歩いて、そして出て来た。