輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

ロマンスとえんだん

ロマンスと縁談

佐々木 邦

線上閱讀佐々木 邦《ロマンスと縁談(ロマンスとえんだん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 13,722 字 · 28 頁

青空文庫

大海に釣らん

大海に釣らん

会社に勤めること三年余、僕も少し世の中が分って来たような心持がする。公私、いろ/\と教えられるところがあった。

公に於ては、上のものに認められなければ駄目だと悟った。出世の階段を自分の足で一段々々上って行くのだと思うと違う。自分の足もあるけれど、上のものが認めて引っ張り上げてくれるのである。それだから空々寂々では一生下積みを免れない。誠心誠意に努力するものが認められる。

私に於ても誠実が物を言う。僕は同僚との折合が好い。喧嘩をして却って別懇になったのもある。一杯飲んで胸襟を開くと皆うい奴だ。渡る世間に鬼はないという諺は豪い。

こゝで名乗って置くが、僕は姓は橘高、名は庄三である。新年会の折、専務の名倉氏が僕の姓名を利用して洒落を言った。僕はクジ引きで社長と専務の間に坐ってしまって、犬が屋根へ上ったような形だった。隠し芸の順番が廻って来た。社長が謡曲を唸った。僕は芸がない。あったところで、右に社長左に専務では仲間同志の時と違う。仕方なしに、もし/\亀よ、亀さんよを歌って笑われた。次に専務が立って、

「君、一寸立ってくれ給え」

と僕に言うのだった。