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ちゅうせいのぶんがくでんとう
中世の文学伝統
風巻 景次郎
線上閱讀風巻 景次郎《中世の文学伝統(ちゅうせいのぶんがくでんとう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 115,977 字 · 230 頁
また古人の歌でも、後からさがせばまたよい歌もでてくるので、それらは新しく追加された。それからまた反対に、一度載せられながら除き去られる歌も出来てきた。こうした歌の入れ換えは、竟宴の後も引きつづき行われ、最後的に出来上ったのは建保四年(一二一六)十二月のことだった。このときに成立した御本は最後的な決定本として、和歌所開闔源家長が清書して奥書を記して世につたえたものであって、十二月二十六日の奥書の意を取ると、この決定本以前の『新古今集』は、いずれもひがごとの存する本であり、この本は万事決着の後清書した本であるから、上皇御手もとの御本と些かのちがいもないものであって、これに違う点のある本は皆悪い本と思えといっている。竟宴が催されてから実に十二年目のことであった。
そのようなわけで、この間、『新古今集』が全く流布しないでいるということもない。反対に非常によくひろまった。たとえば三代将軍実朝などは、首を長くして待っていて、九月二日には『新古今』の写本一部を携えた使者が京都から帰着しているのである。京都の歌人間または高貴の所々に伝写の本がひろまらぬわけはない。