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ちゅうせいのぶんがくでんとう
中世の文学伝統
風巻 景次郎
線上閱讀風巻 景次郎《中世の文学伝統(ちゅうせいのぶんがくでんとう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 115,977 字 · 230 頁
乱後の勢としては、関東との関係上こうならざるを得なかったろうが、その結果は、定家の一身上に大きく響いてきた。彼自身は承久乱の年は六十歳で、その翌貞応元年従二位に昇ってから、六十六で正二位、七十一歳で権中納言に就き、七十二歳で出家、仁治二年八月、八十歳を以て薨去した。
しかし御子左の家の幸運は、もっと著しく嫡子為家の上にあらわれている。彼は建久九年に生れ、承久乱の年には二十四歳で従四位上左権中将であったが、二十八(嘉禄元年)頭中将、二十九(嘉禄二年)従三位参議兼侍従、三十九(嘉禎二年)従二位権中納言に昇り、四十四歳(仁治二年)のときすでに正二位権大納言となった。御子左の家柄としては極位極官である。それにこの昇進の早さは、たしかに大臣家の公達に互角であった。父定家はそれを見て世を去ったのである。この昇進の早さには定家自身呆然として、「二十八にて蔵人頭、将相の家すらも猶以て幸運の輩なり」といったり、「頭中将(為家のこと)馳せ来つて云ふ……参議に任じ侍従を兼ぬと……運の早速なること更に筆端の及ぶ所にあらず……未だ三十に及ばずして八座(参議のこと)に加はる、実に言語道断の事か……眼前に公卿を見る、愚眼の宿運は身の運に似ず、驚奇するに足れり」