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ちゅうせいのぶんがくでんとう
中世の文学伝統
風巻 景次郎
線上閱讀風巻 景次郎《中世の文学伝統(ちゅうせいのぶんがくでんとう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 115,977 字 · 230 頁
二条良基の庇護を受けた連歌師救済の手で、『筑波集』や『応安新式』やが作られてから、連歌はいよいよ京都での流行を増した。しかも、能楽といわず連歌といわず、それらはいずれも、もてあそび物の一面を色濃く保ちながら、その味わいの上で、王朝文芸のそれへ急激に近づきつつあった。いわば芸能が伝統的美意識に合格するための色あげであった。
このことは、建武中興の失敗、数十年にわたる京方と吉野方との抗争、そして足利幕府の専横等によって、室町時代朝廷がその全勢力の上で、鎌倉時代に比べても一層の式微を感ぜしめる状態になられたにかかわらず、王朝この方の伝統的宮廷文化のみが、如何になお日本文化を代表する唯一の高度文化であったかということを事実において示すものであって、上流の生活において、芸術として認容されるためには、猿楽であろうと、連歌であろうと、王朝文化の色合を映さなければならなかったのであった。
けれども一方からいうと、文化乃至は芸術のある一つの特殊な匂いとか感触とか傾向とかいったものが、それほどまでに絶対価値を付与されて、いわば絶対の「美」として立てられるようになったとき、そういうことをする人々、またはそういうことを認容し享受する人々は、決して自らの手で、前代にとってかわる文化をつくりあげていないと見てよいと思われる。