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ちょうさきかん
中井正一評論集
中井 正一
線上閱讀中井 正一《中井正一評論集(ちょうさきかん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 129,229 字 · 256 頁
そんなものだったのか」そうだったのかと、自分の前にそそりたったのを憶えている。それは巨大な現実とでもいうべき世界が、眼前に現われた思いであった。そして突然、古代の微笑の数々が、例えば、中宮寺の観音のような、古代の彫刻によく彫られているほほえみが、自分の眼の前を横切ったように思ったのであった。
中国のあの平原を前にして、数十尺の姿をして、ほほえんでいる、大同の石仏だって、幾万の人間が、数十年かかって、あの巨大なものを彫らねばならなかったのは、やはりこんな気持ではなかったであろうか。あれが、何十尺の巨大な岩壁に彫ったということ、それが巨大でなければならなかった理由は、おそらく、彼らにとって、その現実の愚劣さもまた、巨大であったからかもしれない。
『資治通鑑』を読んでみると、まったくそう思える。実に何ともいえない愚劣さが、千年の歴史の中に綴られている。そして、実によい人が、次々にその中で、それと闘って倒れている。この巨大な愚劣に、ほほえみ、生き耐えるためには、あの岩壁を幾万の人が、幾十年を費やしても彫らねばならないものがあったのかもしれない。中国の良心ある大衆が、一緒にうたった、大きな詩ともいえる。