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アラスカのひょうが

中谷宇吉郎紀行集 アラスカの氷河

中谷 宇吉郎

線上閱讀中谷 宇吉郎《中谷宇吉郎紀行集 アラスカの氷河(アラスカのひょうが)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 122,039 字 · 248 頁

青空文庫

対寒建築で畳の生活を採用することの可否については随分論議がある。そして進歩的な人たちや、革新的な指導者たちの多くは、旧生活の名残りである畳を廃して、新しい生活の様式を採り上げることを唱道しておられるらしい。しかし私は家庭生活における日本人と畳との縁を、そう簡単に切り離してしまうことが、果して可能であるかどうかについては、随分疑問を持っていた。そして今度の満洲行で、奉天や新京〔長春〕のみならず、チチハルやハイラルまでも、満鉄の社宅には畳を入れているという話をきいたり、ハルピンの日本宿に泊って見たりして、ますますその疑問を深めたのであった。

ハルピンでは、ホテルという名ばかりの日本宿に一晩泊った。もとは露西亜人の事務所かまたは安宿かと思われる家を、極めて粗末に改造して、畳と障子とを入れたような宿であった。壁は煉瓦で出来ていたが、もともとあまり上等な家ではなく、不器用に煉瓦をそっと積み上げて、その上に漆喰を塗ったような建物であった。そういう建物の中で、部屋の中に上り框のようなものを作って床板を張り、古い畳が敷き並べてあった。そして敷居と鴨居とを無理に取り附けて、障子を入れ、所々はがれている漆喰の壁には、妙な形の柱を添えて軸物が掛けてあるという風であった。