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アラスカのひょうが

中谷宇吉郎紀行集 アラスカの氷河

中谷 宇吉郎

線上閱讀中谷 宇吉郎《中谷宇吉郎紀行集 アラスカの氷河(アラスカのひょうが)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 122,039 字 · 248 頁

青空文庫

四角な木造の、札幌などでよく見る下宿屋のような恰好の家である。

ベルを押すと、半身裸かで、胸の毛のもじゃもじゃした大きい男が出てきて、運転手と何か早口で、喋っている。ちっとも分らない言葉である。けげんな顔をしていたら運転手が私の方を振り返って「一人部屋が欲しいのか、相宿でもいいのか」と普通の英語に翻訳してくれた。砂金でも掘りにきたのかと、思ったのかもしれない。相客はさすがに閉口なので、「プライヴェートルームを頼む」といったら、窓のない真暗な部屋へ案内してくれた。そこにもベッドが二つあるので、二人分を払うことにして、やっと落着けた。向いの部屋は窓があるので、そっちの方をちょっと覗いて見たら、鍛鉄で作った上下二段のベッドで、文身をした先生が寝ていた。それでこの真暗な部屋でも、有難く落着くことにした。

外国へ一足踏み出して、第一夜が窓のない木賃宿というのも少し凝り過ぎているが、時々こういうことには経験があるので、別に慌てはしなかった。部屋にいても、どうにもしようがないので、当てもなく街をぶらぶら歩いてみた。新しく建設されつつある街で、米国の新開地というものは、こういうものかと、大いに参考になった。